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アペックス便り8月号

環境と経験の[非認知能力]との因果

人間の持って生まれた天賦の才能には個々の格差があってしかりだが、環境や経験は後天的な要素からくる能力なので、意識や行動によっていくらでもバージョンアップできる能力だ。あえて能力と言ったのは、後天的に[身に付ける]能力に、環境や経験が大きく寄与することは、前回に述べた。特に、IQ[知能指数]やEQ[心の知能指数]だけではなく、[人間力]につながる[非認知能力]は、環境や経験によって後天的に育まれる要素が大きいので、無視できない。

感性豊かな少年期に、どれだけの環境や経験のバージョンアップがその人間力に磨きを掛けていくのか影響は計り知れない。人間力だけは、与えられるモノではなく[磨く]モノだから、特に伸びしろの大きい少年期に属した環境や、経験は[非認知能力]を伸ばす最大のファクターになる。

端的に言うと非認知能力とは、「心の力」「人間性」「行動特性」のようなもので、非認知能力は、「学力を支える土台」であり、また「人生を豊かに生きる力」でもある。少年期は特にこれらが大きく育つ時期なのだ。

我が家では、子供たちの少年期にアウトドア経験や、旅を人一倍経験させたことで、感性を磨き、好奇心を育んだようだ。その影響か、娘も息子も、特に世界を放浪する旅は、大学生になっても続けていて、アルバイトで貯めたお金をすべて旅に費やす学生時代を過ごしていた。

日常から離れ、別世界に身を置き、安宿を転々としながら放浪した⻘春の足跡は、何事にも代えられない貴重な体験となって、後の人生に彩りを添えているようだ。現にそれぞれが家庭を持った今は、多忙の隙をみて活動的にアウトドアや、旅を子供とともに楽しんでいるようだから、まさに環境と経験を遺伝させながら子供の非認知能力を磨いているようなものである。

●今の時代に求められる人間力

「今の時代の人間力」とは、かつての「勤勉さ・礼儀・忍耐」といった旧来型の人間力に加えて、変化の激しい社会を生き抜くための柔軟でしなやかな力が求められる時代になっている。だから予測不能な社会では、ただ正解を知っているだけでは通用せず、自分で考え、感じ、動く力=人間力が必要になってくる。

つまり、AI・テクノロジーの急速な進化のために、知識や計算はAIに代替されるので、人にしかできない「共感・創造・直感・人間関係力」がより価値を持つようになるのである。今の人間力を育むヒントとして、

※他者と深く関わる経験…一期一会の出会い、異文化交流、対話、旅などから※自然やアートとの対話…デジタルから一度離れて感じる力を育む
※小さな挑戦と失敗…1人キャンプでも旅でも、試してみて「自分の感情」と向き合う機会を大事にする
※内省の時間を持つ…日記を書く、感情を振り返る、立ち止まる時間を確保する等が挙げられる。

●これからの[人間力]とは?

「人間力」とは、変化に巻き込まれず、変化を面白がりながら生きる力であり、自分の中の『小さな声』を聞き、それに従って一歩踏み出す勇気である。これからは、[答えを探す力]よりも[問を立てる力]が問われる時代になり、自らが人生の瞬間や節目に[問いを立てる]如何によって、[人間力]に大きな差となってくることは間違いないだろう。では次に、[人間力]を伸ばすための実践的な方法を考察してみたい。

我々が生きている今の時代は、何が正解か分からず、予測がつかない「不確実性の時代」とも呼ばれている。技術が日進月歩で進化し、AIやロボットが私たちの仕事や暮らしに深く入り込む中で、単に知識やスキルだけでは立ちゆかない場面が増えている。そんな時代だからこそ、「人間力」という目に見えない力の重要性が、あらためて注目されている。では、人間力とは一体なんなんだ。

ひと言でいえば、「自分らしく、他者と関わりながら、変化の中をしなやかに生き抜く力」と言えるかもしれない。

具体的には、自己理解や共感力、粘り強さ、創造力、対話力、倫理観など、多くの要素が複雑に絡み合ったものだ。そして嬉しいことに、これらは生まれつきの才能ではなく、経験や意識によって後から育てることができる。人間力を伸ばす第一歩は、自分自身をよく知ることだ。たとえば日記を書くことで、今日の自分がどんなことに喜びや苛立ちを感じたのかを振り返ることができる。「なぜそう感じたのか?」と問い直すことで、感情の背後にある価値観や思い込みにも気づけるようになるのだ。

次に大切なのは、小さくても挑戦をしてみること。たとえば一人で旅に出てみたり、これまで関心のなかった分野の本を読んでみたりすることだ。たとえ失敗しても、その経験は自分の「行動力」や「柔軟性」を育て、再挑戦するたびに自信へと変わっていくことは間違いない。

人間力はまた、人との関係の中で磨かれていくものでもあり、他者と心を通わせたり、相手の話を最後まで聴いてみたり、自分の気持ちを正直に伝えたりする中で、共感力や対話力が育まれていく。特に価値観の違う人との出会いは、自分の視野を広げてくれる貴重な機会になりとても大切だ。

そして忘れてはならないのが、「失敗から学ぶ力」だ。思い通りにいかなかった経験こそ、人を深くしなやかにする。ただし、それをただの「失敗」として終わらせるのではなく「そこから何を学んだか」に意識を向けることで、次に活かせる力へと変わっていくのだ。

さらに、自然や芸術、哲学のような「正解のない世界」に触れることも、人間力を育むうえで大切だ。森の中を歩きながら何かを感じる時間や、アート作品を前にして立ち止まる瞬間は、自分自身の内側と静かに向き合う貴重な機会となる。

最後に、人間力を伸ばすうえで忘れてはならないのが、「自分がどう生きたいか」という問いを持ち続けることだ。何を大切にしたいのか、どんな人でありたいのか。明確な答えがなくても、問いを持ち続けることそのものが、私たちの行動に芯を与えてくれるのだ。

人間力とは、人生の節目や日常のふとした瞬間の中で、少しずつ育っていくものだ。そしてそれは、どこかにある「完成形」を目指すものではなく、「問いながら歩む」プロセスそのものに宿るものなのかもしれない。

…[次回に続く]

おしらせと今月の予定

毎年、恒例の強化合宿が間近です。受験生は必修参加ですが、他学年の参加も大歓迎です。特に、苦手科目や課題分野を自覚しているなら、傍で常に講師のサポートがあるので克服することなんて簡単にできるのです。是非積極的に参加して欲しい。又、外部生の参加も可能なので、お友達にも誘ってみよう。残り枠も僅かですので!!

今月の予定
○7/21日〜夏期講習開始
○8/15〜17日夏季強化合宿
●8/12〜17日迄、全休講

注…振替など有る生徒は直接講師からの指示に従うようにしてください。

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