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アペックス便り10月号

●AI時代に生きる若者たちへ 〜期待される人物像〜

ここ数回にわたってAI時代に求められる[能力]や[人間力]の必要性を説いてきた。今回は総括する意味で、このAI時代をチャンスと捉え、まさに激変する潮流の真っ只中に身を置き、未来に夢を馳せる若者にエールを送る意味で、一緒に未来の仕事を考えてみたいと思う。本当にこの数年の技術革新は速く、けた違いに変革を起こすスピードには目をみはるばかりだが、こんな時代に生きる若者の未来は前途洋々でうらやましい限りである。ただし、AIに使われるか、使いこなすかで道は二極分化し、大きく結果は変わっていくだろう。できることなら、AIを道具として使いこなし、[相棒]として活用する習慣を付けてほしいと思う。アイデア出しやプログラミングやデザインなど、積極的に実践していくことだ。そこで必要な視点は、単なるワーカーにと留まらず、常にビジネスの視点から実践して欲しいのだ。

●[ワーク]と[ビジネス]の違い

※ワーク(Work)
個人が時間や労力を提供し、対価として収入を得る活動。指示や仕組みに沿って遂行する「作業」に近い。AIや自動化によって代替されやすい部分。

※ ビジネス(Business)
顧客や社会に価値を生み出し、仕組みやサービスとして持続させる営み。単なる作業ではなく、課題発見・価値創造・関係構築が中心。AIに完全代替されにくい部分。

このような視点を持つと、単なるワーカーは今後ますますAIに仕事を取って代わっていくだろう。何一つ文句も言わず延々と作業するAIに勝てるはずがないのだから。

そこで重要になるのが、[ビジネス]の視点なのだ。

AI社会で生き残るのは、単なる「ワーカー」ではなく、課題を見つけ、価値を創造し、人や社会をつなげる“ビジネス・デザイナー的人材”。言い換えれば、「AIに使われる人」ではなく「AIを使って価値を広げる人」が求められる人物像なのです。

まさにAI社会は「単純作業が減る=人間らしい活動の比重が増える」時代。若者にとっては“自分を活かす舞台が広がるチャンス”なのです。

◆AI社会で求められる人物像

AIがワークを大量に代替していく中で、人間に残るのは「人間ならではのビジネス力」です。

1.課題発見力を持つ人与えられた作業をこなすだけでなく、「そもそも何が問題なのか?」を見抜ける。顧客や社会の潜在的ニーズを形にする力。

2.創造と編集ができる人AIが出す大量の情報や案を、取捨選択・組み合わせて新しい形に編集できる。芸術やデザインだけでなく、サービスやビジネスモデルの創造にも当てはまる。

3.人間関係をデザインできる人共感力、信頼関係構築力、場を整える力。「人と人とのつながり」こそAIが苦手な領域。

4.意思決定と責任を担える人AIは提案や予測はできるが、「選択と責任」は人間が担う必要がある。倫理的判断、社会的な影響を考慮できるリーダー。

5.越境的な学びと柔軟さを持つ人一つの専門に閉じこもらず、異分野を横断して価値をつなげる。学び直し(リスキリング)を自然に続けられる人。これらから今後求められるのは、次の3つを持つ人です。第一に、問いを立てる人。

「これって、そもそも何のためにやるの?」と考えられる人です。スティーブ・ジョブズも言いました。「創造性とは、ただ物事をつなぐことだ。」新しい問いを立てることが、未来をつなぐ第一歩なんです。

第二に、創造と編集ができる人。例えば、AIに「旅行プランを考えて」と頼めば、山ほど候補を出してくれます。でも、その中から「誰と行くか」「どんな体験を大切にするか」を決めるのは人間です。最後に意味を与えるのは、みなさん自身です。

第三に、人と向き合える人。AIはどんなに進化しても、友達が落ち込んでいるときに「心から寄り添う」ことはできません。みなさんも経験があるでしょう。テストの点数が悪くて落ち込んでいるときに、ただ「がんばれ」と言われても響かない。でも、隣で一緒に悔しがり、一緒に励ましてくれる友達がいたら、心が軽くなりますよね。

そうした「温かさ」こそが、人間だけの力なんです。では、君たちが今からできることは何でしょうか。

日常の中で「なぜ?」を大切にしてください。

「なぜ勉強するのか?」「なぜこの仕組みは必要なのか?」と問い続ける習慣が、課題発見力を育てます。そしてAIを恐れるのではなく、使いこなしてください。

AIに調べさせ、考えさせ、その上で「自分の言葉」でまとめる練習をする。これこそがAI時代の学びです。

さらに、人と深く関わる体験を大事にしてください。ボランティアでも部活でもいい。仲間と本気でぶつかり合い、一緒に笑い、一緒に涙する。その経験はAIには絶対にできない、人間の宝物です。

みなさん。AI時代は「奪われる時代」ではありません。むしろ「自分らしさを武器にできるチャンスの時代」です。

最後にもうひとつ名言を紹介します。哲学者ニーチェはこう言いました。「なぜ生きるかを知っている者は、どんな困難にも耐えられる。」君たちが問いを立て、仲間と力を合わせ、AIを道具として使いこなせば、これまでの大人が想像もしなかった未来をつくることができます。どうか怖がらないでください。どうか挑戦を楽しんでください。

未来を決めるのはAIじゃありません。未来を決めるのは、他ならぬ君たち自身です。

…[次回に続く]

おしらせと今月の予定

暑さ、寒さも彼岸迄…とは通用しない時代になったのか、彼岸過ぎても連日の猛暑が列島に異変を与えている。収穫の秋や実りの秋も今年は例年にない悲惨な状況の様だ。海水温の異変から、採れる魚も変化している様だ。やがて亜熱帯化が進み、日本固有の四季もなくなりそうだ。本来の四季を楽しむ季節感のある日常に戻ってほしい限りだが…。

今月の予定
○初旬…学校の中間テスト
○10/4日〜土曜OP講座開始
※中3受験生の志願者のみ
●10月28〜31日は年間調整日で休講です。
※小6/中3の全国テストは11月に延期します。

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