菅内閣が短命で幕を閉じた後、新しく岸田内閣が発足した。女性総裁候補者二名の立候補により、自民党内での政策論争が形の上では活発に繰り広げられたが、今後の政局の命運を託すにふさわしい総裁選びも、結局は政治力学による出来レースの感が否めず、新内閣発足後も安倍内閣の傀儡政局と揶揄され支持率低下が続く厳しい船出だ。
そんな中、日本人のノーベル物理学賞受賞というニュースが飛び込んで来たが、ある意味今後の日本の行く末を暗示するかのような現実が露呈され、ぬか喜んでばかりもいられない。正確に言えば日系アメリカ人の受賞であり、既に日本に見切りをつけた当の真鍋叔郎氏の言い放った内容が、日本の同調圧力による社会構造の根幹をついただけに、頭脳の国外流出が止まらない現実を直視せねばならない。何より惜しまれるのが、今日では世界共通の[地球温暖化問題]を、科学的に実証、確立した先見の功績を日本社会が後押しできなかった事実だ。
科学、経済だけでなくあらゆるジャンルで席巻するイノベーション社会のアメリカが、人種、民族を問わず[可能性と能力]を掘り起こす土壌と弾力的な国である限り、世界を牽引する多様性社会の可能性を示唆しているのは、今後の日本社会の在り方を模索するヒントになり得るのではなかろうか。
以前に拝読したスウェーデンの精神科医アンデシュ・ハンセン氏の『スマホ脳』が、上半期のベストセラー1位となったので、世間のスマホによる弊害の関心度の高さを契機に、改めてスマホなるデバイスを再考してみたい。
そもそも、人間の脳は何のために有るのか?という問いに対して、脳の目的は、生存するために身体をどう動かすかの決定の為に有り、考えたり感じたりと脳は機能するが、決して賢くなったり気持ちよくなる事を目的とはしないと明言している。更に我々人類の脳は、太古のサバンナ生活の脳と何ら変わらず、1万年、2万年も変化していない事実から分析している。
氏は脳内で快楽物質と言われるドーパミンが分泌される理由も、生存と繁殖の為に何に注意を向けるべきかを人間に教える為だと言う。つまり、ドーパミンは「もしかしたら?」や「多分?」という期待の快感を生み出す物質なので、本来脳は「おそらく得られる」という状況が大好きなのだ。ベルを鳴らすだけで犬がヨダレを垂らす条件反射の実験での犬は、ドーパミンで溢れかえっているらしいが、人間も同様に、「おそらく得られる?」には弱く、だから「ギャンブル」が好きなのも納得出来る。
厄介な事は、テクノロジー進化のスピードに、我々の脳が追いつかない事実だ。生活を一変させたスマホなるデバイスの出現は、今後果てしなく続く、人類とデジタルの関係の入り口に過ぎない、と警鐘を鳴らし、血圧や心拍数を測定し感情の動きまで分析するデジタル技術が、我々の肉体にまで侵入してきた今こそ議論が必要と説く。デジタル化は、太古から変わらぬ我々の脳を脅かし始め、スマホはかつて無いほどのスピードで脳を侵食している。スマホが他の娯楽製品より中毒性の高さを示す根拠に、睡眠時間と運動を奪われ、観ずにいられない不安や鬱に脆弱化した自覚に、現実に身に覚えが有るなら、スマホの利便性のみに囚われず、影の部分にも眼を向けるべきだと思う。
元来、ヒトや動物が生存の為には周囲に注意を向けつつ深く集中する必要が有り、生きる為に深く集中するには、周りの情報を遮断しなければ、生死に関わってきた筈だ。我々はスマホを使い始めてから、眠らなくなり運動をしなくなり、人と会わなくなる代償を払っている。又、SN Sで自分と他人を比較するストレスを求められ不安や鬱を悪化させ、更には溢れる広告や情報で日々「あなたは他人より劣っている、遅れている…」と囁かれ苛まされているのが、最大の弊害で有り、他人に共感するチカラを失っているのが損失である。氏の「ネットサービスにとって、我々は顧客ても何でも無く、我々が商品そのものであり、我々の関心を奪い、それを広告主に売っている」と皮肉に語るコトバにこそ、未来が暗示されている。人類が発明した道具に、自身の貴重な時間を破壊されず、機械に操られる本末転倒に陥らぬように、道具は正しく使って初めて「便利」を享受出来るモノだと、再認識してみたい。
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