header

アペックス便り5月号

>>PDFファイルを見る

新学年になって、新学期が始められない緊急事態が続いている。

遅すぎた世界保健機関のパンデミック宣言もあざ笑うかの様に、新型コロナウィルスの感染は、世界中をあっという間に飲み込みながら、今なお人類を不安に陥れている。そもそも、生物と無生物との間にあるウィルスから人類は逃れる事は不可能だ。

頭で理解できても、目に見えない敵に翻弄されるだけではこの未知のウィルスに立ち向かうことは困難だろう。地球規模での感染拡大は、これまでの人類の進化と発展に大きな課題を与え変換を促しているのかも知れない。少なからず各個人も今後の生き方そのものを改めて考える好機と捉え、自粛してみたい。

コロナ後の世界は、今作られる…

ユヴァル・ノア・ハラリ氏(『サピエンス全史』他)が、FINANCIAL TIMES紙に緊急寄稿した予見が興味深い。ハラリ氏が、冒頭に述べる[今]をどのように捉えたのか…[以下抜粋]…

人類は今、グローバルな危機に直面している。それはことによると、私たちの世代にとって最大の危機かもしれない。

今後数週間に人々や政府が下す決定は、今後何年にもわたって世の中が進む方向を定めるだろう。医療制度だけでなく、経済や政治や文化の行方をも決めることになる。私たちは迅速かつ決然と振る舞わなければならない。だが、自らの行動の長期的な結果も考慮に入れるべきだ。さまざまな選択肢を検討するときには、眼前の脅威をどう克服するかに加えて、嵐が過ぎた後にどのような世界に暮らすことになるかについても、自問する必要がある…。

と前置きしながら我々に迫り、

非常事態の中で、短期にとられる緊急措置が今後の生活の一部になる…

と断言する。

今は、平時でないので討議に何年もかかる決定も、数時間で下される…と、いくつもの国がまるごと大規模な社会実験のモルモットの役割を果たす…

といい非常事態の最中にある[危うさ]に言及する。実際、感染者数や各国の対応策が、毎日まるで競うかの如く実況中継され、グローバル化された世界の情報網は、世界各国コロナ封じ込めデッドヒート化の様相で、他国を横目にしながらロックダウンの実施や自国政策批判や、各国はますます自国主義の狭義視野に陥る反グローバリズムになりがちだ。挙句に、感染源国の責任追及の矛先を米国始め欧州は中国に転嫁する、コロナ後の覇権の前哨戦と言わんばかりだ。

さらにハラリ氏は続ける

…この危機に臨んで、私たちは2つのとりわけ重要な選択を迫られている。第1の選択は、全体主義的監視かそれとも国民の権利拡大か、というもの。第2の選択は、ナショナリズムに基づく孤立か、それともグローバルな団結か、というものだ。

そして最後に次の様に締めくくる。

人類は選択を迫られている。私たちは不和の道を進むのかそれともグローバルな団結の道を選ぶのか?

もし不和を選んだら、今回の危機が長引くばかりでなく、将来おそらく、さらに深刻な大惨事を繰り返し招くことになるだろう。逆に、もしグローバルな団結を選べば、それは新型コロナウイルスに対する勝利となるだけではなく、21世紀に人類を襲いかねない、未来のあらゆる感染症流行や、危機に対する勝利にもなることだろう…。

ハラリ氏の予見は地球サイズでの危惧ゆえに示唆に富んでいる。

現政権のコロナ政策批判をするだけでなく、国民主権法治国家の行く末も鑑み、我々も今まさに、コロナ後の世界を見据える時かもしれない。

おしらせと今月の予定

※臨時休講のお知らせ

※新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、全国規模に自粛要請が発令された先月より、引き続き当教室も5月6日まで臨時休講の措置を取りますので、皆様も家庭にて完全自粛に努めていただきます様宜しくお願いいたします。

なお休講による授業対策は、コロナ自粛の動静を鑑み、方針決定後に各塾生にお知らせいたします。

アペックス便り バックナンバー