新しく進級、進学をスタートさせる4月になりました。新しい環境に早く慣れ、幸先の良い1年を元気よく始動させていきましょう。
北京オリンピックの閉会に呼応したかのように、信じがたい戦争が勃発しました。ロシアによるウクライナ侵攻が2月24日に始まり、早期に首都キエフの陥落を予想されていたが、ウクライナ人の国を守る激しい抵抗に約1か月もの間激しい戦闘が続いています。
その間、ロシアの一般市民を標的にした悲惨でむごい無差別的な攻撃は、女性、高齢者や子供達がその犠牲の大半になっており、それら映像が連日流され、平和ボケした日本にとっても決して対岸の火事とは思えません。たった一人の独裁者の野望と狂気が、歴史を簡単につくり変え、紡いできた史実は枚挙に暇がありません。
今、世界は間違いなく大転換期に入ったと言っても過言では無いだろう。我々個々に突き付けられた平和への願いが、どうあるべきか問われている…。
ウクライナがロシアからの侵攻を命がけで闘っています。戦争は絶対に良くない。しかし、人類が戦争の歴史を紡いできたのも事実だ。日々、映像により瞬時に目の当たりにする戦争のおぞましさだけに目を奪われてはいけない。感情だけで、現実を判断してはいけない。歴史は未来を作っていく。未来は今、ここにある現在が完了される方向で決まる。未来を予測できるのは、歴史の本質に触れる時に気付く筈だ。今、ここにある危機に気付き、未来に向けての行動だけが未来を変える。
私が敬愛する歴史学者のハラリ氏が、ロシアの侵攻後4日後既に、英国ガーディアン紙に[プーチンは負けた/既にこの戦争に負けた理由]と題した緊急寄稿記事を目にしたので是非参照されたい。
…開戦からまだ1週間にもならないが、プーチンが歴史的敗北に向かって突き進んでいる可能性がしだいに高まっているように見える。彼はすべての戦闘で勝っても、依然としてこの戦争で負けうる。ロシア帝国を再建するというプーチンの夢はこれまで常に嘘を拠り所としてきた。
[中略]
プーチンはウクライナ侵攻を計画していた時、既知の事実の数々を当てにしていた。彼はロシアが武力でウクライナよりも圧倒的優位に立っている事を知っていた。( N A T O )がウクライナに援軍を派遣しないだろうことを承知していた。ヨーロッパ諸国はロシアの石油と天然ガスに依存しているので、ドイツなどの国々が厳しい制裁を科すのを躊躇することもわかっていた。彼はこれらの既知の事実に基づきウクライナを急襲して政府を倒し、キエフに傀儡政権を打ち立て、西側の制裁を乗り切る腹だった。
[中略]
しかしこの計画には大きな未知数が一つあった。アメリカがイラクで、旧ソ連がアフガニスタンでそれぞれ学んだ通り、一国を征服するのは簡単でも、支配し続けるのは遥かに難しいのだ。自分にはウクライナを征服する力がある事を、プーチンは知っていた。だが、ウクライナの人々が、ロシアの傀儡政権をあっさり受け容れるだろうか?プーチンは、受け容れるほうに賭けた。
[中略]
ところが、日が経つにつれて、プーチンの賭けが裏目に出た事が益々明らかになってきている。ウクライナの人々は渾身の力を振り絞って抵抗しており、全世界の称賛を勝ち取るとともに、この戦争にも勝利しつつある。この先、長らく、暗い日々が待ち受けている。ロシアがウクライナ全土を征服することは依然としてありうる。
だが、戦争に勝つためには、ロシアはウクライナを支配下に置き続けなければならないだろう。それは、ウクライナの人々が許さないかぎり現実にはならない。そして、その可能性は日に日に小さくなっているように見える。ロシアの戦車が1台破壊され、ロシア兵が1人倒されるごとに、ウクライナの人々は勇気づけられ、抵抗する意欲が高まる。そして、ウクライナ人が1人殺害されるたびに、侵略者に対する彼らの憎しみが増す。憎しみほど醜い感情はない。だが、虐げられている国々にとって、憎しみは秘宝のようなものだ。
心の奥底にしまい込まれたこの宝は、何世代にもわたって抵抗の火を燃やし続けることができる。プーチンがロシア帝国を再建するためには、あまり流血を見ずに勝利し、あまり憎しみを招かないような占領につなげる必要がある。それなのにプーチンは、ますます多くのウクライナ人の血を流すことによって、自分の夢が実現する可能性を自ら確実に消し去っている。ロシア帝国の死亡診断書に死因として記される名前は、「ミハイル・ゴルバチョフ」ではないだろう。それは「ウラジーミル・プーチン」となる筈だ。ゴルバチョフはロシア人とウクライナ人が兄弟のように感じられる状況にして舞台を去った。プーチンは逆に、両者を敵同士に変え、今後ウクライナが自国をロシアと敵対する存在として認識することを確実にしたのだ。
突き詰めれば、国家はみな物語の上に築かれている。ウクライナの人々が、この先の暗い日々だけではなく、今後何十年も何世代も語り続けることになる物語が、日を追って積み重なっている。首都を逃れることを拒絶し、自分は脱出の便宜ではなく武器弾薬を必要としているとアメリカに訴える大統領。黒海に浮かぶズミイヌイ島で降伏を勧告するロシアの軍艦に向かって「くたばれ」と叫んだ兵士たち。ロシアの戦車隊の進路に座り込んで止めようとした民間人たち。これこそが国家を形作るものだ。長い目で見れば、こうした物語のほうが戦車よりも大きな価値を持つ。
ロシアの独裁者プーチンは、誰よりもよくそれを知っていてしかるべきだ。彼は子供の頃、レニングラード(現サンクトペテルブルク)包囲戦におけるドイツ人の残虐行為とロシア人の勇敢さについての物語をたっぷり聞かされながら育った。今や彼はそれに類する物語を生み出しているが、その中で自らをヒトラー役に配しているわけだ。ウクライナ人の勇敢さにまつわる物語は、ウクライナ人だけではなく世界中の人に決意を固めさせる。
ヨーロッパ各国の政府やアメリカの政権に、さらには迫害されているロシアの国民にさえ、勇気を与える。ウクライナの人々が大胆にも素手で戦車を止めようとしているのだから、ドイツ政府は思い切って彼らに対戦車ミサイルを供給し、アメリカ政府は敢えてロシアを国際銀行間通信協会(SW IF T)から切り離し、ロシア国民もためらわずにこの愚かな戦争に反対する姿勢をはっきりと打ち出すことができる筈だ。私たちの誰もがその意気に感じ、腹をくくって手を打つことができるだろう。寄付をすることであれ、避難民を歓迎することであれ、オンラインでの奮闘を支援することであれ、何でもいい。ウクライナでの戦争は、世界全体の未来を左右するだろう。もし圧政と侵略が勝利するのを許したら、誰もがその報いを受けることになる。ただ傍観しているだけでは意味がない。今や立ち上がり、行動を起こす時なのだ。
あいにく、この戦争は長引きそうだ。さまざまに形を変えながら、おそらく何年も続くだろう。だが、最も重要な問題にはすでに決着がついている。ウクライナが正真正銘の国家であり、ウクライナ人が正真正銘の民族であり、彼らが新しいロシア帝国の下で暮らすのを断じて望んでいないことを、この数日の展開が全世界に立証した。残された大きな疑問は、ウクライナからのこのメッセージがクレムリンの分厚い壁を貫くのに、あとどれだけかかるか、だろう。
by Yuval Noah Harari 出典 The Guardian, 2022, 2, 28 ”Why Vladim ir Putin has already lost this war”
戦争は愚かな行為だが、人類は侵略と征服を繰り返し、無数の血を流してきた。戦争に大義はあるのか。勝者の論理で築き上げられた歴史を鵜呑みにしてはいけない。少なくとも、生きる証を踏みにじられ、愛する人を理不尽にも奪われ、ましてや人間の尊厳を守る為に命を懸けるのは、当然の事だ。我々が、生き証人として傍観するだけの存在なら、ウクライナの犠牲者は闇に葬られるだけだ。しかし、人間の本質や愚かさを改めて考えさせられる契機に、ハラリ氏の歴史の進行形への洞察は、歴史の未来完了の方向づけに一隅を照らしてくれた気がします。圧制と侵略を許さないためにも、どう生きていくべきか…大きな課題です
※合格速報※
※大学受験の部※
●MHさん(大阪女学院高)
★同志社女子大学[現代社会学部]
★武庫川女子大学[文学部]
●STさん(大阪学芸高校)…★四天王寺大学[看護]
※高校受験の部※
●KNさん…同志社国際高校
●SS君(花ノ井)…市立工芸高校[ビジュアルデザイン]
●ND君…市立咲くやこの花高校[美術]
●KRさん(平野北)…大阪府立八尾高校[普通]
●KM君(新生野)…大阪府立住吉高校[総合科学]
●MMさん(堀江)…大阪府立花園高校[普通]
今月の予定
○7日迄…春季講習会
○2日…全国テスト 小6/中3受験生のみ実施