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アペックス便り12月号

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暖冬とはいえ、色づいた街路樹も木々から落葉し道を埋め始め、日増しに冬支度を急いでいるかのようです。師走に入り、一年の早さに驚く間も無く慌ただしさに追い立てられながら、気ぜわしく日々を忙殺させていませんか。

現代の情報洪水に埋もれると、ややもして季節感やら折り目や節目を忘れがちになりますが、娯楽や楽しみの少なかった時代から、大切に伝承してきた年中行事に眼をやり、ゆったりと平成最後の年末年始を厳かに楽しみたいものです。SNSの普及で年賀状も年々減少し、お店やコンビニなどが24時間年中無休では、年末年始のムードも台無しですね。この調子では餅つき、コマ回し、凧揚げ、カルタ等でワクワクした世代の郷愁に終わりかねず、お年玉まで電子マネーになりかねません…。

人の触れ合う中から季節や節目を共有し、四季の移ろいから感性を育みたいものです。『時間』から解放されて、『時』を愛しむ瞬間を大切にして、平成最後のゆく年くる年を充実させたいですね!

「品格」って何だろう… ゴーン・ショックの意味するもの…

師走も目前に、今年最後のビックニュースが飛び込んできた。

瀕死で存亡の危機に喘いでいた日産自動車を、V字回復させたカルロス・ゴーン氏の逮捕劇に関するニュースだ。別名コストカッターの異名をとる大胆なリストラを断行してのV字回復への賛否はさておき、その後の業績回復と、ルノー・日産・三菱の3社連合を束ね、世界第2位の自動車生産を築き、名経営者との称賛の誉れの只中での逮捕劇だけに、いろいろと考えさせられる側面が多々ある。長年にわたる会社への巨額私物化等の諸々の詳細は今後明らかになっていくだろうが、彼の就任以来日本社会に与えた「グローバル化」への影響が多大なだけに、今回の逮捕劇が世界の自国主義への潮流と重なり、今後の日本社会や我々自身の時代を読み解くヒントにしたいものだ。

失われた20年とも言われたバブル崩壊後の日本に襲い掛かった平成大不況の中で、象徴的経営者として登場した彼は、その後のグローバルスタンダードを日本社会に浸透させ、皆をも黙らせた彼の手腕は、一言で「品格」を排除した「実力主義」と言っても良いだろう。過度な実力社会と競争社会を構築し、業績第一主義で邁進した結果とも捉えられるし、その方針に異論の挟む余地すら無い、欧米に倣えと言わんばかりのその後の日本の急激な社会変化がもたらしたものは、年功序列の崩壊と終身雇用の終焉である。

実力主義を否定するわけでは無いが【過度】は日本には合わない上「品格」さえ蔑ろにし兼ねない劇薬だとも思う。かつての日本には、特有の社会システムとして終身雇用や年功序列があった。これらが社会の安定や平穏を与え、安心できる社会のもとで世界第2位の経済成長もなった事実にも、着眼すべき時期に来ているかも知れない。過度な実力主義を徹底させると、周囲は皆ライバルになり、敵に見え、自身は心休まることの無い不安の中で生きていくことになりかねない。実力主義はカッコよく響くので誰も異を挟めません。

かつてのベストセラー『国家の品格』(藤原正彦著)を引用すれば、日本人は欧米流の「論理」のみを重視するのではなく固有の「情緒の文明」を誇り、「品格」を大切にすべきだと。今一度ゴーン氏の報道に違和感を感じる感性(品格)を大切にしながら、ゴーンショックを再考したいものです。

おしらせと今月の予定

※冬期講習&冬季強化合宿に参加しよう※
年内最後の締めくくりに、弱点補強や苦手克服をテーマに冬期講習を積極的に組み込み、学習効果を高めよう。
年末の28日〜29日の2日間で受験生必修の強化合宿も実施しますので、受験意識を高め先取りしたい生徒は、積極的に参加しましょう。詳細は各担当講師まで確認下さい…!

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