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アペックス便り6月号

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今年のゴールデンウィークは、コロナ禍の3年間で初めて全国的に行動制限が解除された連休になった。大型連休にしかも久しぶりの行動制限解除となれば、日本全国各地での賑わいは尋常では無いのが当然と言わんばかりに、活気溢れる光景が戻ってきた。心配された天候も大きく崩れずに、皆さんも五月晴れの中、久しぶりに鬱憤を晴らしたのでは無いだろうか。

まさか鬱憤を晴らすなんて気分で、プーチンはウクライナに侵攻した訳では無いだろうが、ウクライナ危機も侵攻から既に3か月経って、戦闘は激しさを増してなお長期化、混迷、混沌と化し、停戦の兆しさえ見えない。ロシア国境周辺の中立国2国が、慌ててNATOに加盟申請するなど、地政学的なパワーバランスの不均衡が更なる不安や想像を呼び起こし、核兵器をチラつかせる独裁者の自暴自棄だけは、真っ平ゴメンだ。

グローバリズムの嵐が吹き荒れたロシアに、かつてのロシア帝国の幻影を追い求め、短期制圧を目論見侵攻したのなら、プーチン一人の戦争に過ぎず、ましてや核保有する常任理事国の軍事的侵攻が許される筈が無かろう。民意や良識が機能しない独裁圧制の崩壊を願いたい。

●多発性骨髄腫[血液の癌]と判明、宣言します! 〜命ある限り、[夢]を追い求め続ける〜[vol.1]

◆[驚愕の診断結果]

去年の夏頃から尋常でない腰痛に違和感を覚え、今年の受験日程終了後に近隣の整形外科を受診し『変形性腰椎症』と診断された。年相応の加齢による障害と言われ、半ば諦めて『この先、厄介な痛みと付き合う羽目になったなぁ…』なんて呑気に、又新年度の準備や業務に追われる日々を送っていた。それも束の間、耐えられぬ激痛が全身を駆け抜け、ついに肋骨まで悲鳴をあげて、呼吸さえままならぬ状態になった。春期講習を終えるや否や、別の内科に駆け込み再度、受診してみた。

血液検査、レントゲン、尿検査と済ませ、検査データが出揃う一週間を待たずして、医者から緊急電話で呼び出された。緊急呼び出しだけに、内心不安を抱え医者の第一声を聴いてもピンと来ず『多発性骨髄腫の疑いが濃厚です…』と言われた病名そのものが反芻できない…『た、多発性?、こ、骨髄腫?』…『何ですか? それ?』『一刻を争います、直ぐに大病院を紹介します!!』って医者の表情は深刻そのもの。『先生、聞き慣れぬ病名ですが、命に係わる大事ですか?』と恐る恐る聞くのが精一杯であった。『血の癌です!大変な病気です!!』と聞き届けて、我に返る。『血の癌?』『何のこと? 誰かのデータと間違ったのでは?』…待合室で次の指示を聞くまでの間、いろんな事が逡巡する。『あーぁ、まずは家内に連絡しないと…いや、大病院の紹介なんて言っているけど、客観的な状況判断して欲しいし、そもそも何処の病院を希望すれば良いんだ…面倒やなぁ…』何かの間違いに違いないと自分に言い聞かせ、結局我が息子に連絡を入れた。

貰った血液データを写メで息子に送り連絡を待つ。息子は専門外だが、現役の医師として私よりは的確な判断はできるだろう、との事で急場の判断を彼に仰いでみることにした。直ぐに連絡があった。『いつから?フラフラしない?かなりヤバいよ!とにかく直ぐにチェックして病院を決めるから!』と、息子は、その後私の掛かり付け医とやり取りしてくれた様で、その医者から[大阪赤十字病院]の紹介状を、診察予定日を告げて渡された。後に再度息子から電話が有り、『とにかく、京大系列の大阪日赤やったら間違いないし…!先輩や色々確認したら西日本で一番の医療チームで診療実績も一番やから! それに診察当日は俺も同伴するから!!とにかく当日迄安静にしてよ!』と…。何とも頼もしいではないか…。京大出身の彼の医療情報が、救いの神の声に聞こえ、感心していた。と同時に急転直下で、展開していく、我が病気の現実を受け入れなければならなかった。

◆[診断確定…そして緊急入院]

大型連休の前に大阪日赤の血液内科を息子同伴で受診した。近隣の内科医から事前に私の諸データは既に引き継ぎされていた様で、担当医師から改めて病名を伝えられた。

『[多発性骨髄腫]です。かなり進行しているようです。後で、骨髄精研に骨髄を出しますので…。いずれにしても明日から入院出来ますか…?』『えっ?明日からですか?』自分でもこんな急展開を予想していなかっただけに面食らった感のまま、たて続けに『先生、実は息子の結婚披露宴が連休の最終の子供の日に有るので、何とか連休明けからの入院では不味いですか?それに…仕事での対策も出来ていないので…』『うーん、実際に身体は、そんな猶予は無いので…残念ながら…』と、半ば押し問答になりそうな会話に息子が割り込んで、『いや、先生!明日から入院できる様にお願いします!』って入るものだから、私もつい興奮してしまい、『アホか! 待ちに待ったお前の挙式を断念して、何で入院せにゃアカンねん!それやったら、死んだほうがマシやわぁ!ボケか?』父の身体の事で心配のあまり、自分の晴れての挙式より、父の身体を最優先に担当医師に伝える息子に、大人気無く、興奮して状況も省みずに大声を出す我が身が情けなく想え、改めて、この[多発性骨髄腫]を恨んだ。

「何で、俺が癌やねん…」

◆「人生で初めての入院」

結局、連休の直前に再検査をして、腎臓の数値データの安全性が確認できたので、連休明けの5月9日から、人生初の入院生活を送ることになった。治療しながら検査とデータ管理で、びっしりとスケジュールが組まれている。まるで他人事の様に最初の2、3日はとにかく自覚のない病人にしか見えなかっただろう。見る事、する事全てが新鮮で、看護師にやたら理由を求めては質問攻めにしたり、困った患者に違いなかっただろう。

看護師と言えば、初めて体験して分かったのか゛本当にアタマが下がる想いで(感謝)でしか言い表せない。24時間体制で、看護師、薬剤師、理学療法士、医師のチームが始動する事になった。当初、京都大学医学部の治験モデルとして協力の依頼があったが、息子の助言もあって断った。元来、医学の発展が無ければ還暦を過ぎて尚、健康に生きる人々は、どれだけ存在するだろうか?と思えば[生の執着]ほど見苦しいものはない、のが持論だ。人間は抗えない宿命に対して懸命に生きる中で、生への感謝や人生の大義を見出すべきで、科学技術や医学の進歩が必ずしも人間に幸福を保障する訳ではなかろう。限りのある時間(人生)を、いかに生きそして如何に死ぬか、要は与えられた人生寿命をどのように全う出来るか、が本質であり、究極は『人は死ぬ為に生まれる』と解釈しても良いと思う。

12日間の入院生活は、じっくり人生を再考察、再検証するのに恰好の時間となり、忙殺にかまけて読めなかった本も3冊読めたし、何よりも、より具体的な自分の『未来完了形』スケジュールの検証に貴重な時間をもたらしてくれた。これまでと違って、私の未来は『死』であり、その未来に立って、今(現在)を具体的に想い、直ぐに実行出来るのだから、こんな幸せは、そうなかなか無いだろう…まさに【感謝】のみである。

◆[病人としての自覚]

入院生活も1週間を過ぎると、流石に病人としての自覚が出来てくる。当初は『多発性骨髄腫』の病気自体を感情に任せて遠ざけていたが、入院後は、ありとあらゆる情報入手に余念がない。『自分自身が、この敵(病気)を知らずして、如何に闘うのか』の精神で何事にも積極果敢に行動する。加えて、自身の身体の変化が著しく、入院前より歴然と衰え、身体の異変を自覚せざるを得ないレベルにまで低下した、これまで無かった症状に正直言って閉口した。

あっさり言えば『まさに老人そのもの』。周りに『実年齢より若く見える!』と言われ、ほくそ笑んでいたのが、見る影もない状態の自覚は、案外と辛い。実際、身体が動けず、痛みと闘っているのだから、諦めれば良いものの、なかなか捨てきれないのが[若さ]という称号だ。年齢の割に髪も有る方で、同級生に羨まれる事もあるが、この先[抗ガン剤]を大量に服用することから、脱毛が避けられない事を聞かされると、さすがに落ち込む…。いっそのこと開き直ってスキンヘッドを想定してみるが、塾の先生らしからぬ容姿、人相が想像され、それはそれで生徒が近寄りもしないことを考えると、崖っぷちの新たな悩みと言える。

入院中は、CT、MRI、レントゲンと検査して、我が身の内部を垣間見たが、実際に第5番の脊椎が粉砕骨折していた画像はショックだった。『だから、痛みが尋常じゃぁ無かったんだ…』しかも、現在も日々全身の骨が溶けて[症状の一つ]いるらしく、不注意から容易に骨折するので、その防止法を散々レクチャーされるぐらいに、我が骨が、か細くスカスカになっているのが手に取るように鮮明に見えた時は、驚きと共に信じたくは無かった。若い頃から格闘技はじめスポーツ全般に興じて人並外れた体力自慢と頑強な肉体を自負していただけに、同一人物とは思えないほど、その認識の乖離を埋めるのが大変だった。これまで歯医者ぐらいしか病院に行った記憶が無いほど、健康そのものであったが、今後は病人の自覚が最優先事項になった。

要は、別人になったという認識が必要という事だ。くしゃみするだけで骨折も有り得るやせ細った我が身の骨と、骨髄は全て癌化した状態らしく、進行度合でいう【ステージ3】の末期癌である事に変わりは無い。末期癌の自覚がなによりも大切だ。

◆[発症率…5人/10万人、5年生存率…50%、完治、根治せず]

最初に『多発性骨髄腫』の現状医療データを聞いた時、不思議なぐらい泰然自若としていた自分がある。[血液の癌]では(白血病)が有名だが、この我が病気は相当稀な病気で、発症率が10万人あたりで5人らしく[宝くじ]を当てた様なモノである。現医療レベルでの根治、完治はせず、[5年生存]が50%との統計データである。

『だから、何なんだ?』

受験生に、倍率や滑り止め受験校を推奨しない『本気志望の絶対合格!』を28年間指導してきた塾長の答えはこうだ!!

『この世に生まれたことが奇跡。命ある限り、夢は絶対に諦めない!』

(次号に続く)

◆今月のアペックス便りから、塾長の呟きならぬ[塾長ブログ]としてアップする事に、最初は躊躇しました。しかし、稀な難病に疾患した自分の宿命として、教育の一端を担ってきた自負と未来に繋がる[夢]を、アペックスで縁を頂いたこれまでの塾生、ご父母の皆さまと共有したく、又、私の[闘病記]の証として、毎月続く限り、素直に感謝を込めて書き記す事にしました。今、全ての[存在]に対して有難いと感じ、喜びで一杯です。未だ自分の病気を知って1か月弱ですが、私の中で眠っていたエネルギーが、とんでもない勢いで動き始めたことを全身で実感しています。人生、教育、遊び、趣味、失敗、挫折、成功、達成etc…。いろんなことを、今後も感じるままに呟きますので、宜しくお願いします。

おしらせと今月の予定

※全国テスト実施!![今年度第一回目]※
◎6月25日[土]に小学生、中学生を対象に全国テストを実施します。日頃の実力を全国レベルで発揮し管理に活用しよう。
●7月初旬から随時、一学期の成績を中心に懇談会を実施します。

今月の予定
○25日(土)全国テスト
 ※AM9時開始[各教室にて]
 (対象)…小学生/中学生
●6/28〜30日…休講 ※年間調整日※
★全国テストの外部生も参加できます [お問い合せ下さい]

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